2017年10月、最新のロシア映画を東京で上映するイベント「ロシア映画祭in東京」が開催されました。一般社団法人ユーラシア国際映画祭が実行委員会を立ち上げて主催したイベントで、ロシアの最新のコメディ映画を中心に、六日間で7つの映画が東京で上映されました。映画の上映だけでなく、監督自身が来日して上映後に質問タイムを設けてくれたり、映画に出演していた俳優が上映前に詩の朗読をしてくれたり…と、(日によって内容は違いますが)色々と特別な企画もあって、ものすごくスペシャルなイベントでした。(詳しくは公式ウェブサイトをご覧ください)
私は二日間だけ観に行ったのですが、特に「白夜」がすごくおもしろかったので感想を書きます。
eurasiafilmfestival.net
Трейлер импрессионистской экранизации «Белых ночей»
監督:タチアナ・ヴォロネツカヤ、アンドレイ・ポガトィリョフ/2017年作品/97分
文豪ドストエフスキーによる同名の小説を現代版にアレンジした作品です。舞台はロシアのサンクト・ペテルブルク。主人公のフョードル・Dという男性が、ナスチャという女性に恋をする物語です。
主人公のフョードル・Dはスマホを持っていて、動画を撮りながらキックスクーターでペテルの街を走ります。どんな仕事をして生活しているのかよくわからないけれど、おそらく日本でいうプロブロガーとかyoutuberみたいなことをしているんだろうなと思います。(おそらく…というのは、劇中では具体的に述べていないからです。でも、もしかしたらそういう意味なのかな?という話が出てきます)
フョードルが恋をする相手のナスチャは、30歳くらい*1の女性。原作では17歳ですが、現代は当時より寿命も伸びているし、結婚を考える年齢も上がっているので、それくらいの年齢になったみたいです。でも、彼女がいつも着ているのは、白いワンピース。宮崎あおいがearth music&ecologyのCMで着ていそうな雰囲気の服で、なんとなく年齢の割に幼くて少女っぽい印象です。
まず印象的だったのが、ペテルブルグの街並みです。監督が上映前の挨拶で「ペテルが主人公の映画」と紹介していたのですが、まさにそんな感じの映画です。血の上の救世主教会のような名所も出てきますが、主人公たちがペテルの街中を歩きまくるので、街並みそのものを堪能できるんですよね。きれいな建物も、交通量の多い道路も、ぜーんぶペテルをそのまんま楽しめる感じです。ペテルに行きたくなる映画でした。
しかも、彼らはお散歩デートをしているので、その雰囲気もあいまって、なんてことない場所でもインスタジェニックに見えるときがあるんです。それがすごくいい。フォトジェニックというよりは、インスタジェニック。白いワンピースを着てリュックサックを背負って遊んでいるところを彼氏に撮ってもらって良い雰囲気に加工して「#おさんぽデート #白ワンピ #ペテル #♡」みたいなタグをつけてインスタに投稿してそうなシーンがちょこちょこ出てきます。
書くのが今更になりましたが、これ白黒映画なんです。それもあって全体的にインスタ感がただよっているのかもしれません。
あ!でも、こんなこと書きましたが、「恋して楽しい♡」って映画ではないのでご注意くださいね。(まあドストエフスキーだしね)
元々は小説が原作なので、原作との違いを考えるのも面白かったです。小説を映画化すると大体物足りない部分が出てくることが多いですが、これは現代化してるのでそういうのもあんまりありません。
すごくおもしろかったです。同性の友人と見たので、鑑賞後の恋愛トークがはかどりました。いつか普通の映画館でも上映されてほしいな~。
以下はネタバレ有の感想(箇条書き)です。
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