@AZUSACHKA 's note

わたしの感想をわたしが読みたい。

自分らしくあろうとすると「政治的」にされる - 『歌われなかった海賊へ』感想

歌われなかった海賊へ 作者:逢坂 冬馬 早川書房 Amazon 『同志少女よ、敵を撃て』の作者の2作目。ナチズム下のドイツに実在した『エーデルヴァイス海賊団』を描いた小説(※登場人物はおそらく創作)。 前作がとても好きだったので、発売直後に迷わず購入! …

『源氏物語』をフェミニズム批評する - 『フェミニスト紫式部の生活と意見 ~現代用語で読み解く「源氏物語」』感想

フェミニスト紫式部の生活と意見 ~現代用語で読み解く「源氏物語」~ 作者:奥山 景布子 集英社 Amazon 『源氏物語』をフェミニズム批評で読み解く本。 以前から気になってて、今年の大河ドラマが紫式部なので読んでみた。 源氏物語は『あさきゆめみし』と高校…

「もやもやする」を言語化する - 『アイヌもやもや』感想

アイヌもやもや: 見えない化されている「わたしたち」と、そこにふれてはいけない気がしてしまう「わたしたち」の。 作者:北原モコットゥナシ 303BOOKS Amazon 12月に発売された本。金カム読史会の仲間が「こんな本が出るみたいだよ」と教えてくれたので読ん…

推しと結婚した話、というより - 『ニジンスキーは銀橋で踊らない』感想

最近ポッドキャストでTBSラジオ「アフター6ジャンクション」をよく聴いている。 TBSラジオ「アフター6ジャンクション」 - 「ニジンスキーは銀橋でおどらない」について by かげはら史帆 少し前、この番組で紹介されていた『ニジンスキーは銀橋で踊らない』が…

最初に知るべきこと - 『トランスジェンダー入門』感想

先日発売されたばかりの新書。以前『トランスジェンダー問題』を購入したんだけど、ちょっと難しくてなかなか読み進める気力が湧かなかったので、新しく出たばかりの『入門』から読むことにした。 トランスジェンダー入門 (集英社新書) 作者:周司あきら,高井…

「言葉と知恵」で戦うプリンセス - 漫画『アンナ・コムネナ』4巻 感想

漫画『アンナ・コムネナ』がすごく面白い。 実在したビザンツ帝国の皇女、アンナ・コムネナを主人公にしたフィクション作品。 アンナ・コムネナ(4) (星海社コミックス) 作者:佐藤二葉 講談社 Amazon 歴史漫画のおもしろさ、少女漫画のような甘い恋、フェ…

女子学生よ、大志を抱け - ウルフ『自分ひとりの部屋』感想

「タイトルだけで要点を伝えられる本」というのがあると思う。例えば『差別はたいてい悪意のない人がする』など。ウルフの『自分ひとりの部屋』も、そういう本だと思っていた。読む前は。 でも読んでみたら、「女性には自分ひとりの部屋が必要」という話では…

「逃げれば一つ」で終わってしまったので残念 - アニメ「水星の魔女」感想

※この感想はネタバレを含みます。 【Amazon.co.jp限定】機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season2 vol.1(特装限定版)(全巻購入特典:キャストトーク引換シリアルコード付)(Season2 vol.1~4連動購入特典:描き下ろしイラスト(ガンダム・エアリアル)使用 全巻(1~8巻)…

【スマホからの投稿練習】成城石井のヴィネグレット(ビーツのサラダ)

数ヶ月のブログ更新。 Twitterが今まさに沈みゆくタイタニックみたいになってきたので、気分次第だけどもしかしたら今後ブログをこまめに更新するようになるかもしれないです。 でも実は今までブログはパソコンからしか更新したことはなかったので、試しにス…

宝塚歌劇『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』感想会 - ロマンチックなものはよりロマンチックに、悲しいものはより悲しく

宝塚歌劇『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』を友人のな凧さんと一緒に見てきました(※現地チケットは取れなかったのでライビュ)。二人とも宝塚は人生初体験。鑑賞後、「原作読んで全部ストーリー知ってるのにこんなに泣く!?」ってくらい涙が止まらなか…

「バカバカしい差別論」と一笑に付さないために - 『アイヌ民族否定論に抗する』感想

友人と一緒にアイヌ史を学ぶ読書会を続けている。今月は『アイヌ民族否定論に抗する』を読んだ。最近、読書といえば読書会の課題本を読むことがほとんどで、読書会をやるとそれでもう満足してしまって自分だけの感想を書く気力が沸かないことが多かったんだ…

セーラームーンのことを考えたら気が楽になった - 『ゴールデンカムイ』31巻感想

" data-en-clipboard="true"> ゴールデンカムイ 31 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) 作者:野田サトル 集英社 Amazon " data-en-clipboard="true">漫画『ゴールデンカムイ』最終巻がついに発売された(2022年7月)。 最終回発表当時(2022年4月)、わたし…

わたしにとってフェミニズムは楽しい -『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード ジェンダー・フェミニズム批評入門』感想

北村紗衣さん(以下、さえぼうさん)の新作『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロードージェンダー・フェミニズム批評入門』を読んだ。これはフェミニズム批評の本だけどわたしは批評を書けないので、自分にとってこの本がどういう影響を与えるのか(要するに感…

アイヌ史を学ぶ読書会を始めたのでウェブサイトを作りました

約2ヶ月前、漫画『ゴールデンカムイ』の最終回についての感想を書きました。あの最終回を受けて自分の中で出した結論が「アイヌ史を学ぶ」だったので、実際に本を読んでみました。まだ1冊だけですが、これから少しずつ何冊か読んでいくつもりです。トップ…

並大抵の覚悟では挑めないもの - 記録映画「チロンヌㇷ゚カムイ イオマンテ」感想

ポレポレ東中野で上映中の記録映画。 チロンヌㇷ゚カムイ(キツネ)を神の国に送る、アイヌの祭祀。 1986年前に実施されたときの映像が映画化されたもの。 www.iomantefilm.com 以下、簡単な感想。 記録映画だからネタバレとか特にないと思うけど、まっさら…

「私たちの戦いはこれからだ」ENDにしてほしかった - 『ゴールデンカムイ』最終回感想

まさかこんな結末になると思わなかった。正直、どちらかというと今はまだ戸惑いとショックが大きい。 ゴールデンカムイ公式ファンブック 探究者たちの記録 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) 作者:野田サトル 集英社 Amazon このブログでゴールデンカムイに…

通りすがりの相手と背中を預け合うシスターフッド - 柚木麻子『らんたん』感想

鴻巣友季子さんによる紹介記事を通して知り、シスターフッド小説ということで興味を持ったので読んだ。すばらしいシスターフッドの物語だった!!!!すっごく面白かった〜〜 らんたん 作者:柚木麻子 小学館 Amazon 河井道と渡辺ゆりはシスターフッドの関係…

『同志少女よ、敵を撃て』読書会 - セラフィマとイリーナは"アスファルトに咲く花"

以前『同志少女よ、敵を撃て』の感想を書きました。その後、友人のな凧さんと改めて読書会をしたら、イリーナとセラフィマの関係性についての掘り下げで大いに盛り上がりました。この沸き立つ気持ちをシェアしたい!!セラフィマとイリーナ…良い!!という気…

ネイサン・チェン、北京五輪2022金メダルおめでとう

2022年北京五輪フィギュアスケート男子シングルはネイサン・チェンが優勝した。 ブログではフィギュアスケートについてほとんど書いたことがなかったのだけど、節目なので、思い出として彼について書き残しておくことにした。

ソ連の少女が冨岡義勇みたいな人に出会うフェミニズム小説 - 『同志少女よ、敵を撃て』感想

同志少女よ、敵を撃て 作者:逢坂 冬馬 早川書房 Amazon 夏に『戦争は女の顔をしていない』を読んだ直後、この作品がアガサ・クリスティー賞を受賞したと知った。その時から発売をずっと楽しみにしてたので、ようやく読めて嬉しい!! すごく良かったので感想…

文学だからこそ残せる歴史がある - 『戦争は女の顔をしていない』感想

主催している読書会(フェミニズム読史会)で『戦争は女の顔をしていない』を取り上げました。読書会が発足した2020年4月からずっとやりたいと思っていたものの、当時わたしたちはフェミニズム初学者だったので、証言文学だけで論点を見つけるのは難しいので…

結婚かキャリアか、って古くない? - アマプラシンデレラ感想

Amazonのプライムビデオでミュージカル映画「シンデレラ」が公開されたので視聴した。 多様なルーツの俳優をキャスティングしたり、シンデレラにドレスを着せてくれる魔法使いがドラァグクイーンみたいだったり、政治に意欲のある王女(王子の妹)がいたり……

抗議は楽しいものであるべき!『プッシー・ライオットの革命 自由のための闘い』感想

" data-en-clipboard="true">プッシー・ライオットのメンバーの一人、マリア・アリョーヒナ(以下、マーシャ)の獄中記。アマゾンレビューの「ロシアは獄中記の名産地」という言葉に興味がわいて読んでみた。 " data-en-clipboard="true"> プッシー・ライオ…

ある家族の歴史を通じて日本インドネシア史を知る - 『南島に輝く女王 三輪ヒデ: 国のない女の一代記』感想

倉沢愛子『南島に輝く女王 三輪ヒデ: 国のない女の一代記』(岩波書店、2021年)の感想です。友だちに教えてもらったのがきっかけで読みました。 南島に輝く女王 三輪ヒデ: 国のない女の一代記 作者:倉沢 愛子 岩波書店 Amazon

『戦争は女の顔をしていない』感想(+『鬼滅の刃』の女性キャラ描写について)

第2次世界大戦の際、ソ連軍やパルチザン部隊などには女性も参加していた。看護師や衛生兵としてだけでなく、実際に銃を手にとった狙撃兵もいた。この本は、作家アレクシエーヴィチによってまとめられた、彼女らのオーラル・ヒストリーといえる。ずっと前か…

女性史研究者が半生を振り返った本が面白かったから聞いてほしい - 総合女性史研究会『女性史と出会う』感想

女性史と出会う (歴史文化ライブラリー) 吉川弘文館 Amazon 図書館でジェンダー・フェミニズム関係の棚を眺めていてなんとなく手にとった本。気軽に読めるかな〜と借りて読んだらめちゃくちゃ面白くて、夢中で読んだ。 語っているのは全員1920年代〜30年代に…

『ジャッカ・ドフ二 海の記憶の物語』感想 - 海が繋ぐマイノリティの歴史

ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語 作者:津島 佑子 集英社 Amazon サハリンや北海道を舞台にした小説が読みたい、と人に話したらおすすめされた本。予想してたよりはサハリンも北海道も出てこなかったけど、初めて知る歴史にたくさん触れられて面白かった。

ポーランドとアイヌの抵抗の物語 - 『蝦夷地別件』と『また、桜の国で』

蝦夷地別件 (上) (小学館文庫) 作者:船戸 与一 小学館 Amazon 最近たまたまポーランド関係の作品に続けて出会っている。

読書サークル「フェミニズム読史会」のウェブサイトを作りました

以前よりブログ内で軽く触れていた「フェミニズム史を学ぶ読書会」のウェブサイトを作ったのでご報告します。 sites.google.com

漫画『鬼滅の刃』感想 - 連帯して理不尽に立ち向かう物語

世間の波に乗り遅れること数ヶ月。最近ようやく映画『鬼滅の刃』(無限列車編)を観て、勢いそのままに最終巻まで読み切った。あまりにも有名な漫画なのでストーリーは割愛する。 鬼滅の刃 23 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:吾峠呼世晴 発売日: 2020/12/…