@AZUSACHKA

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【小説】佐藤賢一『ラ・ミッション - 軍事顧問ブリュネ』(2015年、文藝春秋)

 

ラ・ミッション 軍事顧問ブリュネ (文春文庫)
 

 

佐藤賢一の小説は高校生の頃に出会った。大学では史学専攻の道に進んだので歴史学の勉強はしたけれど、小説は小説と割り切って楽しめるほうなので、今でも佐藤賢一は好き。

 

『ラ・ミッション』は江戸幕府のお抱えフランス人ブリュネが主人公の話。でも大政奉還のあとは、榎本武揚らにくっついて箱館戦争にまで参加した。後半はほとんど箱館戦争での戦闘の描写。

日本の歴史物を扱ってもフランスが出てくるのが佐藤賢一らしい…そしてラストで佐藤賢一なりの歴史の解釈が提示されるのも彼らしい。史実に沿って榎本武揚たちは負けてしまうんだけど、でも佐藤賢一は彼らの敗北に意味*1を持たせた。すごく佐藤賢一の小説っぽいラストだった。

 

幕末史をきちんと勉強したことがないので彼の解釈が歴史学上どのくらい妥当なのかは分からない。歴史小説のそういう面を嫌いな人は多いかも。でも私はそういう考えもあるんだ〜くらいに捉えておいて、小説は小説、歴史学歴史学、として分けて楽しんでる。小説でも映画でも何でもいいから何かを知っていると、いつかちゃんと歴史学として勉強したときに自分の中で答え合わせができるし、その答え合わせの作業もまた勉強になるものだと思う。

感想がだいぶ小説の中身からは逸れたけど、そんなことを考えた小説だった。

 

 

 

でも主人公が日本で日本人女性との間に子どもを設けて、最後まで彼女を心配してた…ってあたりはものすごーーーーくモヤモヤした。外国人男性が日本人の現地妻を心の中でどれだけ愛していようと、結果的に彼女を置いてけぼりにした時点で、私の中で彼はピンカートンになる。

*1:フランス軍蝦夷共和国を支援して、イギリス軍はそちらへの対策で手一杯だったため、日本を植民地化することができなかった、というくだり