@AZUSACHKA 's note

わたしの感想をわたしが読みたい。

【読書】織田信成『フィギュアほど泣けるスポーツはない!』 - おだくんが「たくさんの人に楽しんでもらう」ために作った本

 

フィギュアほど泣けるスポーツはない!

フィギュアほど泣けるスポーツはない!

 

 

図書館で本を物色していてたまたま目についたので手に取ってみた。出版されたのが2018年1月なので、タイミングとしては平昌五輪の日本代表が決定した直後くらいのもの。なので2019年7月に読むには少し内容が古いのだけど、織田くんが「フィギュアは泣ける」ということについてどんなこと書いてるのかなと興味があったので読んでみた。

 

内容としては、そんなに「フィギュアは泣ける!」という話は書かれていなかった。
タイトルから勝手に私が想像してたのは、「フィギュアスケートのプログラムで織田くんが今まで泣いたものについて書いてるのかな?村上佳菜子のThink of me*1とかについて熱く語ってくれてるのかな?」という内容だったのだけど、ちょっと違った。前半部分が彼の半生について振り返ったもの、中盤が平昌五輪をめぐる男女シングルの世界&日本の状況、後半が羽生結弦浅田真央について書かれたものという、本が出版されたタイミングに求められることに全振りした内容だった。たぶんこの本はスケオタではなく幅広い層に読んでもらうための本なんだと思う。

 

それは織田くんの半生について書かれた章でも同じで、例えば彼はとある事情で1シーズン試合に出なかったことがあるのだけど、それについてこの本では全く触れていなかった。また、師事を受けたことのあるコーチとしては母親やリー・バーケル氏の名前しか挙がっていない。自分の半生について綴った本だからといって必ずしも何もかもさらけ出す必要なんてないのだけど、あれ?何も触れないの?スルー?というエピソードはちょこちょこあった。ただ、この本が想定している読者がスケオタではなくスケートに興味を持った幅広い層なのであれば、省いて当然かな。コーチである母親との関係についても、かなりマイルドに書かれてはいるけれど、掘り下げれば子育てのけっこう根深い問題に繋がるような話だったしね…。
そのへんを上手くまとめたのは、ネガティブな内容を省いたというよりは、読む人に楽しんでもらうことに全振りした織田くんの人柄なのかなと思う。自分の半生について綴った本だからといって必ずしも何もかもさらけ出す必要なんて無いしね。

 

でもいつか、もし機会があれば、スケオタ向けのマニアックなスケート語り本とか出してほしい。織田くんの解説は面白いし、織田くんがどういうポイントを見て「泣いて」いるのかめちゃくちゃ気になるので。羽生結弦についての章では、羽生くんとはスケートについて語り合うほぼ唯一の仲間とまで書いてあって、織田くんも羽生くんも他人の演技を見るのが好きだし語るのも好きらしいので、たぶんそういう本も出せるんじゃないかなと思うんだよね。いつか!!待ってますおだくん!!

*1:2014年NHK杯のSPで村上佳菜子がこれを演じた直後に号泣してる織田くんの姿がカメラで抜かれてた