@AZUSACHKA 's note

わたしの感想をわたしが読みたい。

小説

自分らしくあろうとすると「政治的」にされる - 『歌われなかった海賊へ』感想

歌われなかった海賊へ 作者:逢坂 冬馬 早川書房 Amazon 『同志少女よ、敵を撃て』の作者の2作目。ナチズム下のドイツに実在した『エーデルヴァイス海賊団』を描いた小説(※登場人物はおそらく創作)。 前作がとても好きだったので、発売直後に迷わず購入! …

『源氏物語』をフェミニズム批評する - 『フェミニスト紫式部の生活と意見 ~現代用語で読み解く「源氏物語」』感想

フェミニスト紫式部の生活と意見 ~現代用語で読み解く「源氏物語」~ 作者:奥山 景布子 集英社 Amazon 『源氏物語』をフェミニズム批評で読み解く本。 以前から気になってて、今年の大河ドラマが紫式部なので読んでみた。 源氏物語は『あさきゆめみし』と高校…

推しと結婚した話、というより - 『ニジンスキーは銀橋で踊らない』感想

最近ポッドキャストでTBSラジオ「アフター6ジャンクション」をよく聴いている。 TBSラジオ「アフター6ジャンクション」 - 「ニジンスキーは銀橋でおどらない」について by かげはら史帆 少し前、この番組で紹介されていた『ニジンスキーは銀橋で踊らない』が…

宝塚歌劇『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』感想会 - ロマンチックなものはよりロマンチックに、悲しいものはより悲しく

宝塚歌劇『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』を友人のな凧さんと一緒に見てきました(※現地チケットは取れなかったのでライビュ)。二人とも宝塚は人生初体験。鑑賞後、「原作読んで全部ストーリー知ってるのにこんなに泣く!?」ってくらい涙が止まらなか…

通りすがりの相手と背中を預け合うシスターフッド - 柚木麻子『らんたん』感想

鴻巣友季子さんによる紹介記事を通して知り、シスターフッド小説ということで興味を持ったので読んだ。すばらしいシスターフッドの物語だった!!!!すっごく面白かった〜〜 らんたん 作者:柚木麻子 小学館 Amazon 河井道と渡辺ゆりはシスターフッドの関係…

『同志少女よ、敵を撃て』読書会 - セラフィマとイリーナは"アスファルトに咲く花"

以前『同志少女よ、敵を撃て』の感想を書きました。その後、友人のな凧さんと改めて読書会をしたら、イリーナとセラフィマの関係性についての掘り下げで大いに盛り上がりました。この沸き立つ気持ちをシェアしたい!!セラフィマとイリーナ…良い!!という気…

ソ連の少女が冨岡義勇みたいな人に出会うフェミニズム小説 - 『同志少女よ、敵を撃て』感想

同志少女よ、敵を撃て 作者:逢坂 冬馬 早川書房 Amazon 夏に『戦争は女の顔をしていない』を読んだ直後、この作品がアガサ・クリスティー賞を受賞したと知った。その時から発売をずっと楽しみにしてたので、ようやく読めて嬉しい!! すごく良かったので感想…

『ジャッカ・ドフ二 海の記憶の物語』感想 - 海が繋ぐマイノリティの歴史

ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語 作者:津島 佑子 集英社 Amazon サハリンや北海道を舞台にした小説が読みたい、と人に話したらおすすめされた本。予想してたよりはサハリンも北海道も出てこなかったけど、初めて知る歴史にたくさん触れられて面白かった。

『氷結の森』感想 - マタギの谷垣を思い浮かべながら読んだ小説

知人にすすめられ、熊谷達也の小説『氷結の森』(2007年、集英社)を読んだ。 氷結の森 「森」シリーズ (集英社文庫) 作者:熊谷達也 発売日: 2014/12/05 メディア: Kindle版

『夢みる教養 - 文系女性のための知的生き方史』感想。とくに人文系の学問を学んできた女性たちへ

小平麻衣子『夢みる教養 - 文系女性のための知的生き方史』(河出書房新社、2016年) 夢みる教養:文系女性のための知的生き方史 (河出ブックス) 作者:小平 麻衣子 発売日: 2016/09/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) 春から続けているフェミニズム読史会…

『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』で読書会を開きました

友人たちと一緒に「フェミニズム読史会(とくしかい)」という名前の読書会を立ち上げました。取り上げたのはSaebouさんこと北村紗衣さんの『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たちーー近世の観劇と読書』です。 シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち:近世の観…

【読書】川越宗一『熱源』(文藝春秋、2019年) - ポーランド人とアイヌ人がそれぞれ帝国主義に抵抗する話(ネタバレ有)

【第162回 直木賞受賞作】熱源 作者:川越 宗一 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2019/08/28 メディア: 単行本 2020年1月に直木賞を受賞して知った作品。サハリンに来たポーランド人(ブロニスラフ・ピウスツキ)がアイヌと出会うなんてウィルク(『ゴール…

【読書】須賀しのぶ『革命前夜』(2015年、文藝春秋)

革命前夜 (文春文庫) 作者: 須賀しのぶ 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/03/09 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る ※リンクは文庫版だけど、読んだのは単行本です。 1989年の東ドイツ・ドレスデンにピアノを学ぶ学生として留学した日…

【読書】三浦綾子『病めるときも』(角川書店、昭和57年初版、平成24年改版)感想

病めるときも (角川文庫) 作者: 三浦綾子 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2012/05/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 三浦綾子の短編集なんだけど、登場する悪役がスタンダードな悪の形ばかりでびっくりした。「井戸」「足」は未成年に対す…

【読書】ジョージ・R・R・マーティン『氷と炎の歌』シリーズ第2巻『王狼たちの戦旗(上下巻)』感想

王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌2) 作者: ジョージ・R・R・マーティン,目黒詔子,岡部宏之 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2012/06/30 メディア: 文庫 クリック: 8回 この商品を含むブログ (21件) を見る 王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (下) (…

【読書】ジョージ・R・R・マーティン『氷と炎の歌』シリーズ第1巻『七王国の玉座(上下巻)』感想

七王国の玉座〔改訂新版〕(上)(氷と炎の歌1) 作者: ジョージ・R・R・マーティン,岡部宏之 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2012/08/01 メディア: Kindle版 購入: 1人 クリック: 2回 この商品を含むブログ (3件) を見る 七王国の玉座〔改訂新版〕(下…

【読書】三浦綾子『続 氷点(上下巻)』(角川書店、文庫版初版:昭和57年発行)感想

続氷点(上) (角川文庫) 作者: 三浦綾子 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング) 発売日: 2012/07/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 続編の感想。『氷点』についてはこちら 三浦綾子『氷点』の続編、『続・氷点』を読んだ。『氷…

【読書】三浦綾子『氷点(上下巻)』(角川書店、文庫版初版:昭和57年発行)感想

氷点(上) (角川文庫) 作者: 三浦綾子 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング) 発売日: 2012/06/22 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 7回 この商品を含むブログ (6件) を見る 『石ころのうた』『天北原野』に続いて三浦綾子3冊目。旭川に…

【読書】上西晴治『十勝平野(上)』(1993年、筑摩書房)感想

十勝平野(上) 作者: 上西晴治 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2013/12/20 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 明治・大正・昭和にかけての十勝・浦幌を舞台に、アイヌの親子三代の生活と戦いを描いた小説。下巻は図書館の返却期限に間に合…

【読書】三浦綾子『天北原野』(新潮社、1985年)感想

天北原野(上) (新潮文庫) 作者: 三浦綾子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1985/05/28 メディア: 文庫 クリック: 1回 この商品を含むブログ (4件) を見る 先月、旭川へ旅行して興味を持った三浦綾子の小説。すごく面白かったです。 1924年〜戦後の北海道…