@AZUSACHKA 's note

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【読書】ちくま評伝シリーズ『フリーダ・カーロ〜悲劇と情熱に生きた芸術家の生涯』 - フリーダ・カーロについて初めて読んだ本

 

 

ちくま評伝って初めて読んだ。1番最後に国語の試験のような「設問」があって、読み終えたあとにもう一度内容を振り返ることができるようになってるんだね。

とあるカフェに入ったらこの本が置いてあって、子ども向けで読みやすかったし時間もあったのでその場で一気に読んでしまった。カフェの店員さん、長居してすみません。

 

フリーダ・カーロのことは前から知っていたし絵も好きだったんだけど、彼女の生涯についてはほとんど何も知らなかった。だから他の伝記/評伝と比べてこの本がどうかというのは分からないのだけど、淡々と彼女の人生を描きつつもところどころ筆者による解釈が伺えて興味深かった。

 

フリーダ・カーロって絵もすごいけど本人も面白い人なんだね。以下、印象に残ったことのメモ。

  • 本当は1907年7月6日生まれなのに「メキシコ革命とともに生まれた」ということにしたくて1910年7月7日生まれだと自称していた
  • 父親はドイツ出身のハンガリーユダヤ人で母親はインディオの血を引くメキシコ人という多様なルーツを持っていた(それは南米出身の人であればそんなに珍しいことでもないのかもだけど…)
  • 学業成績は優秀で、国立予科高等学校という大学へ進学する予定の高校生が通う学校に入学した数少ない女子生徒のうちの一人だった。家が特別お金持ちというわけではないけれど、確かな高等教育を受けていた、知的な人だった
  • 社会主義にも関心があった。画家として社交界に顔を出すこともあったけれど、世の中の貧困に気付かない社交界への嫌悪感と自分自身も高等教育を受けてきたブルジョワに近い人間であることに葛藤を抱いていた
  • メキシコに亡命したトロツキーと恋をした(トロツキーって!!)
  • イサム・ノグチとも恋をしていた

 

フリーダ・カーロ社会主義に関心があった、というよりはもっとシンプルに世の中の貧困に関して問題意識なのかな…?そのへんはこの評伝だけじゃちょっとよく分からなかったけど、彼女の絵は自分自身の受けた傷だけから生まれたのではなく、彼女の受けた教育とか、社会への問題意識とかからも生まれたものなのかなと思った。

 

子ども向けの本だし、本には書かれていないことが実際にはもっとたくさんあるんだろうけど、初めて読むにはちょうどいい重さだったと思う。子ども向けのジュニア新書とかって大人でも普通に勉強になるものいっぱいあるよね。読んでよかった。

 

この本では冒頭でちょっと触れられていただけだけど、フリーダ・カーロって一時は忘れられていたけれどフェミニストによって再び注目されたんだってね(70年代のこと)。次に読むとしたらフェミニズムの視点から彼女について述べたものがいいなあ。何か良い本あるかな。