@AZUSACHKA 's note

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【読書】町田樹の「ティムシェル」を理解したくて、6年越しで『エデンの東』を読み始めてみた(1/4)

 

エデンの東 新訳版 (1)  (ハヤカワepi文庫)

エデンの東 新訳版 (1) (ハヤカワepi文庫)

 

町田樹ソチ五輪シーズンに掲げたテーマ「ティムシェル(汝、治むることを能う)」。この言葉の意味を彼は「自分の運命は自分で切り開く」と解釈したと語っていた。

これはフィギュアスケートファン(少なくともソチ五輪の頃から見てきた方)なら誰でも聞いたことのあるフレーズだと思う。でも私は「一体ティムシェルって何なんだ…」と思ってから6年近く経ったにもかかわらず、結局「エデンの東」の映画やドラマを見ることもせず原作小説も読まずストーリーを調べることすらしなかった。そんな風に分からないことや興味が湧いたことをそのままにしておくのは、あまり良いことではない。向学心に欠ける。

何よりフィギュアスケートで「エデンの東」の主題曲は町田樹以外も使用した/している選手がいて、私が知ってるだけでも例えば永井優香が使用したり、今シーズンでは山本草太が使用したりしている。スケートファンにとって「エデンの東」は「白鳥の湖」とか「ロミオとジュリエット」並に有名な曲なのだ。そのストーリーを一切知らないのはスケートファンとしてどうなんだ??もはや「エデンの東」はスケオタの基礎教養科目の一つなのでは??

 

ということで、わたしが「エデンの東」という物語を最初に知ってから6年。ようやく小説を読み始めてみました。

 

とはいえ、まだ一巻しか読んでいないので、特に感想はあんまり無いです。まだ物語の序盤も序盤、起承転結の起、ゲーム・オブ・スローンズでいうとまだシーズン1、って感じ。町田樹っぽさはまだあまりない。

でも翻訳物なのにすらすら読める。読みやすくて嬉しい。「ティムシェル」というヘブライ語の名言(なの?)があまりにも有名すぎて、キリスト教ユダヤ教の考えが通底している難しい話なのかなー…と思っていたんだけど、少なくとも1巻を読む限りでは全然そんなことなかった。

一番印象に残ったのはトラスク家の父と子の関係。父サイラスを嫌っていたアダム(兄)のことを父は愛していて、父を慕っていたチャールズ(弟)のことを父はあまり好きでなかった。チャールズとアダムも仲の良い兄弟というわけでなく、父に愛される兄を妬んだ弟チャールズが兄アダムに暴力を振るうこともあった。でも、何だかんだいって遠く離れていても互いに手紙を書いて弟が兄に会いたがったり、再会して一緒の家に住んだり、かと思えば案の定ケンカになったりと、別に仲が良いわけじゃないけど互いに家族として大切にしてる(?)感じが伝わってきて面白かった。いや、大切にしてるというより、二人とも孤独だし他に家族がいないから縁を切るに切れない感じなのかな…。「家族っていいな」とは個人的には思わないし、アダムとチャールズも絶対にそんな風には思わないんだろうけど、その微妙な空気感(仲が良いわけじゃないけどまぁ悪くはない)がなんだかリアルだなと思った。

 

続きはちょっとずつ読んでいきます〜

 

ティムシェルが出てくるまでは遠い道のり。