@AZUSACHKA 's note

わたしの感想をわたしが読みたい。

ネイサン・チェン、北京五輪2022金メダルおめでとう

2022年北京五輪フィギュアスケート男子シングルはネイサン・チェンが優勝した。

ブログではフィギュアスケートについてほとんど書いたことがなかったのだけど、節目なので、思い出として彼について書き残しておくことにした。

 

 

ネイサン・チェンがシニアデビューしたのは2016-2017年シーズン。SP「海賊」とFS「だったん人の踊り」を携えて、衝撃のシニアデビューだった。高難度の4回転ジャンプを複数持っていて、スケーティングも表現も上手いオールラウンダー。勢いよく四大陸選手権で優勝した際、「これは五輪で金も有り得るんじゃないか」とスケートファンがざわついたのを、昨日のことのようによく覚えている。

スケートが上手い、ジャンプもすごい、人柄も良い、頭も良い、声も良い。(むりやり欠点を探すとすれば、シニアデビュー翌年以降から使用するようになった、あまりにもモダンすぎる衣装くらい。)ものすごく難しいことを簡単そうにこなす、余裕たっぷりの彼のスケートに私も惚れ込んでしまった。

翌年の平昌五輪で彼の身に起きたことは、スケートファン以外にも広く知られている。団体戦個人戦ともにSPで大きく崩れてしまい、団体戦ではチームアメリカとして銅メダルを得たものの、個人戦ではメダルに届かなかった。(ただ、FSではすばらしい演技を披露して、SP17位からFS5位までごぼう抜きした。)

その後の男子シングルは、ずっとネイサン・チェンがトップにいた。平昌五輪後の2018年世界選手権に始まり、2019年、(2020年は中止)、2021年、と計3回も彼は優勝した。(もちろん世界選手権以外にもたくさん実績を残した)

でもフィギュアスケートはスポーツだから、五輪前の世界選手権で何度優勝していても五輪でちょうどその実力を発揮できるとは限らない。よほどのことがない限り北京五輪はネイサン・チェンが優勝するだろう…という前評判だったけど、「よほどのこと」が起きてしまったのが平昌五輪だった。

結果は、SP,FSともに圧倒的な演技を披露しての金メダル。前評判通りの結果ではあるけれど、「練習してきたものを披露する」それだけのことがどれだけ難しいか。でも彼はついに達成した。

FSの「ロケットマン」は、エルトン・ジョンの生涯を描いた同名のミュージカル映画から来ている。「ロケットマン」の主人公は、華やかな道を歩いているように見えても、オープンにはできない事情で苦しんでいた。ネイサン・チェンもまた「名門イェール大に通う世界チャンピオン」という「華やかな道」を歩むアスリートである。ネイサンと「ロケットマン」のエルトン・ジョンの姿にはかぶるところがある。ネイサン本人がどんな意図でこの曲を選んだのかは分からないけれど…

ネイサンは、基本的に演技中は笑わない。そういう性格だからではなく、そういう曲を使っているから。でも今回のFSで彼は笑っていた。終盤で笑みがこぼれていた。彼がとても充実した気持ちで演技できているのが伝わってきて、こちらも嬉しくなってしまうような、幸せな4分間だった。

ロケットマン」は切ない映画だったのだけど、エンディングでエルトン・ジョンはある幸せを掴んでいることが示される。ネイサンの笑顔も、彼が歩んできたアスリート人生の最後に幸せを掴んだことの証左であってほしい。

本当に良い笑顔で演技してたんだよね。いつも真剣な表情ばかりだったから、こんな幸せそうにスケートをする人だったんだ…と驚いてしまった。

 

ネイサン・チェンの今後の競技人生がどうなるかは分からないけれど(彼本人もどうするかまだ決めていないらしい)、彼にとってもファンにとっても北京五輪は一つの区切りになる可能性が高いので、今の状態で自分の日記を書いておきたかった。

 

 

本当は北京五輪男子シングル全体の総括をしたかったんだけど、ネイサンについてだけで1500字くらい書いて疲れた。笑
でもせっかくブログを書いてるので、メモ的に簡単に特に気になる選手だけ書いておく。

 

鍵山優真
本当にシニア2年目…?安定感がすごい。去年のシニアデビューの勢いそのままに銀メダルを得た感じ。日本男子の五輪メダリストの中で最も若いときにメダルを得た。これからが楽しみすぎる。

宇野昌磨
結果だけ見れば平昌銀・北京銅の順風満帆な競技生活なんだけど、そのインターバルは伸び悩んだり調子が上がらなかったりして大変な時期があったことを知ってるので、今回の銅は前回の銀よりももっとすごいことだと思う。

羽生結弦
彼ほどのキャリアを持つフィギュアスケーターが現役生活を続けていて、しかも新たな挑戦を続ける姿を見せてくれるだけで尊いことなので、北京メダルの有無は彼の価値になにも関係ないと思う。

チャ・ジュンファン
SPもFSも表現が圧倒的好みすぎて大好き。SPはおしゃれでFSは情熱的。シェイリーン・ボーンありがとう。平昌15位→北京5位と大成長したスケーターの一人。来年以降もっと成長しそうで楽しみ!

ジェイソン・ブラウン
4回転ジャンプも練習しててプログラムに入れたことはあるんだけど、今回は入れなかった。それでも6位。これだけクアド全盛の時代にすごい。ジェイソンだけなんか別の賞あげてほしい。

ダニエル・グラスル
FSだけならネイサン→鍵山→羽生→グラスル、と4位なんだよね。4Lz,4F,4Lo1Eu3Sは強い。ユーロを代表するスケーターになってほしい。プログラムはインターステラーからのアルマゲドンという謎編曲だったけどそれもまたユーロっぽくて良し

ボーヤン・ジン
地元開催の五輪で男子シングルただ一人の出場、ってことでプレッシャー半端なかったと思うけど、充実した表情で終えられるような演技ができて良かった。苦しいシーズンが続いたけど、今のクアド時代を築いたのは間違いなく彼です。

 

全員書きたいんだけど、疲れてきたのでこの辺で終わり。

ブレンダン・ケリーが五輪出れて良かった。メキシコのドノヴァン・カリーヨが踊心あって最高だった。ミハル・ブレジナとアレクセイ・ビチェンコがFS進めなかったの悲しかった…