@AZUSACHKA 's note

わたしの感想をわたしが読みたい。

「言葉と知恵」で戦うプリンセス - 漫画『アンナ・コムネナ』4巻 感想

漫画『アンナ・コムネナ』がすごく面白い。

実在したビザンツ帝国の皇女、アンナ・コムネナを主人公にしたフィクション作品。

 

歴史漫画のおもしろさ、少女漫画のような甘い恋、フェミニズムに基づいたポジティブなメッセージ!

歴史学も少女漫画もフェミニズムも大好きなわたしのために生まれてきてくれたのでは…!?ってくらい好きな漫画です。

 

ブログで取り上げるのは初めてなので、1〜3巻の感想から書いていきます。

 

最近の推し漫画です

最近だれかにおすすめ漫画教えてって聞かれたら、よくこの漫画を推している。ブラウザ上で無料で読めるから気兼ねなくおすすめできる…という事情もあるけど、それ以上に、この作品を好きな人はわたしの周りに多いだろうなと思ってるので、よくおすすめしてる。

普段、わたしは漫画を電子で購入することが多いんだけど、アンナ・コムネナは紙で購入している。この漫画は基本的に無料で読めるし、わたしは電子のほうが気軽に読み返せるタイプなんだけど、こういう漫画こそ長く連載されてほしい、評価されてほしい…と思っているので、あえて紙で買っている。それくらい推してる漫画!!

※ちなみにこのサイトで読めるよ

 

1〜3巻感想(箇条書き)

全部語ると長くなるので、1〜3巻の特に好きなポイントを以下箇条書き。

  • 女性でありながら皇帝になりたいということは、つまりアンナ殿は男に生まれたかったのか?と夫のニケフォロスに聞かれて「アンナはこのままで完璧よ!アンナが女だからって嫌な思いをするとしたら そう思わせる世界の方が悪いのよ!」と答えるシーン。女性差別解消のために「男化」するのではなく「そんな世界を変える」と言い切るアンナがまぶしい。好き!(1巻)
  • 他人から聞かされた話で納得できないことがあったとき、本人から直接話を聞くに行こうとするアンナ。それに対し、夫のニケフォロスは「行動、調査、研究・考察 アンナ殿こういう所 良いよな…」と心のなかでつぶやくシーン。女性の見た目ではなく内面、それも「優しさ」などの一般的に女性の美徳とされる要素ではなく、あるいは「精神的強さ」でもなく、「学者肌の気質」に夫が惚れている!「主人公に惚れ込むパートナー」は少女漫画に必須の条件だけど、その惚れ込む理由がちょっと珍しいし、「既存のテーブルには乗ってやらないぞ」感がめちゃくちゃ良い。(1巻)
  • 皇后(主人公アンナの母)は「子どもを産むことが自分の役割」と思い込んでいたけれど、肉体的に子どもを産めなくなってしまってからは、これからはそれ以外で夫(皇帝)を支えられるよう政治にも関わっていこうとするシーン。主人公アンナ以外の女性キャラクターもけして弱々しくない。アンナだけが最強なわけではない(2巻)
  • 自分は女なので戦場における経験は得られない、そういう「男らしさ」を得ることはできないけれど、自分はその「男らしさ」のゲームには乗らない、ゲームそのものを出し抜いてやる!と主人公アンナが決意するシーン。「差別的な構造に乗らない」「構造そのものを変える」という精神!!好き(3巻)
  • 旅先(夫の実家)で女性医師に出会ったアンナ。自分の体を見せたり病状を告げたりするのを嫌って医者にかかりたがらない夫の祖母に対して、「あなたの体に恥ずべきところなどない。なぜならこのアンナが完璧なように、あなたもまた完璧だから。神様は私たちを完璧に作ったはず」と説得するシーン。まぶしすぎる自己肯定感!!本当にその通りだと思う。女性の体に恥ずかしいところなんてないし、わたしは完璧で最高!!イェーイ!!アンナ様ほんとに好き…(3巻)

 

4巻感想

4巻も本当に良かった。

(以下、2023/7/17時点ではまだ無料公開していない部分です。未読の方はご注意ください)

 

アンナは子どもの頃(1巻)、「娘が帝国一の花嫁になって誇らしい」と愛らしさを称える父に「こういう風にではなく、いつかきっと能力と実力で認められてみせる」と決意していた。実際、アンナはその後ずっと勉学を続け、周囲もアンナの言葉が持つ力に気付くようになっていった。

その父親が、4巻でついに「その知恵と美しい言葉で この帝国を支えておくれ」とアンナに声をかけた。そのとき脳裏に浮かんでいたのは、長男が生まれなかったらありえたはずの、アンナが帝位に就くシーン。(7/29追記 ここ勘違いしてました。アンナの隣にいるのはコンスタンティノスだと思ってたんですがヨハネスですかね?)

ここ本当に良かった。父親が娘の容姿や愛らしさではなく、知恵や能力を誇るシーン。本当に好き!!!!

 

そしてアンナは、医学を学ぶ意欲のある女子を支援したいと思い、さらにその実務を自分自身ではなく夫の妹であるソフィアに任せるようになる。

ここも本当に良かった!!自分ひとりで何もかもするのではなく、他の女性の助けを借りて、しかもそれによって「任せられた」ソフィア自身も自信を持てるようになる。

こういうのもシスターフッドだなーと思う!!

アンナ様が主人公の物語だけど、他の主要女性キャラクターたちもみんな魅力的で、それぞれ成長していくのが良い。

 

それだけに次巻予告でアンナ様が不穏な表情をしていらっしゃるのがとても不安で苦しいのだけど…

きっとこの作品は、(史実がどうあれ)悲しすぎたり理不尽だったり胸糞悪かったりする展開にはしないだろうと信じてるので…

次巻も楽しみ。

 

ここまで読んでくれた人は最新刊(4巻)まで読んでる人だとは思うけど、読んでない人はぜひ読んでね!!!!ほんとに推し漫画だよ!!!!

※ちなみにわたしは史実のアンナ・コムネナの情報を一切シャットアウトした状態でこの漫画を読んでいます。わざとそうしています。そこのところよろしくお願いします(?)

 

sai-zen-sen.jp