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Unknown Lady's Diary

読書/映画/上原專祿/フィギュアスケート/セーラームーン/ロシア

安藤美姫さんがリスクを背負いながらも「出産」を選んだのは道理だ、という話

 ずっと前から安藤美姫さんのことが大好きで、応援しています。

 そもそも興味を持ったのは、トリノ五輪で叩かれていた姿が印象に残っていたから。自分と大して年齢が変わらない女の子がテレビや週刊誌でひどいことを言われ続けている姿は、当時高校生だったわたしにとって、とてもショッキングでした。当時、わたしはフィギュアスケートを全く見たことがありませんでした。なので、わたしは美姫さんのことを「アスリート」ではなく「同年代のかわいい女の子」という目で見てたんですよね(そういう意味ではわたしも美姫さんをアイドル扱いしてたのかもしれません)。だからこそ、あのバッシングの嵐をとても恐ろしく感じました。政治家や大人ではなく、10代の女の子なのに、世間からこんなに叩かれることがあるなんて…と。

 夢中になったのは次のシーズン(2006-07年)。それまでは、ふわふわキャピキャピした普通のかわいい女の子という印象だった美姫さんは、それまでよりも強くなって帰ってきた。「あんなにひどい目にあったのに!なんて強くてキレイなんだろう!」この時点で、わたしにとって美姫さんは「スケーター」として以上に「人間」としての興味を抱かせる存在になったのです。

 だから、今でもわたしは彼女のことはスケート以外の部分――私生活も含めて応援してます。元々スケートそのものとはちょっと違うところから興味を持ったからです。そして、現在の美姫さんは、「子ども(=家族)」と「仕事」を同時に手に入れたスペシャルな女性としてわたしの目に映っています。シングルで子どもを産んだことが批判されがちだけど、収入もあって、実家のサポートも得られるのだから、子どもを育てる環境としてべつに不足はないわけですよね。(その上、美姫さんは美人です。人によって好みは分かれるかもしれませんが、少なくとも幾つかのファッションショーに呼ばれる程度には美人です。あとこれは完全に蛇足ですが、サイン会で彼女を至近距離で拝見したとき、わたしは彼女の顔の小ささにびっくりしました。芸能人がよく言われることですが、生の美姫さんはテレビで見るよりスタイルが良くて美人です。仕事・子ども・家族・美貌・恋人…これらを全て手に入れた美姫さんの人生って勝ち組と言わずして何なのか)

 それに、美姫さんが多くのリスクを背負って「出産」を選んだプロセスを想像して思いをはせてみると、彼女だけでなく女性にとって普遍的な問題が含まれているようにも見えるんです。

 まず、よく言われることですが、子どもは「授かりもの」です。産もうと思ったとき、すぐに妊娠できるわけではありません。わたし自身は子どもを産んだことがありませんけど、そんなわたしでも知っているくらいの一般常識です。元々子どもがほしいと思っていた人ならば、仕事のタイミングが悪くても「産みたい」と思うのは道理だと思います。

 特に、美姫さんの場合はそれこそトリノ五輪の前から出産願望を次のように語っています。「美姫、トリノに出たら、次は出ません。18歳で引退します。…そのあと結婚して、22歳で子どもを産む。で、その子を自分で育てて、オリンピックに連れてってもらう。」*1出産が報道されたときはわたしも驚きましたが、今になってみれば美姫さんが出産をしたのはそんなに驚くべき選択ではないと思います。

 話が遠回りしますけど、医学部に通うわたしの友人女性の話。お医者さんって超超超多忙なので、医者になってからだと産むタイミングがつかめないことも多いので、彼女のまわりだと学生結婚も多いらしいんです。比較的、時間のとれやすい学生のうちに結婚して、先に子どもを産んでおく…という考え方らしいですね。結婚前の妊娠発覚であっても関係ないみたいです。

 さらに言えば、美姫さんは第一級のアスリートです。女性アスリートの「女性としての身体」にまつわる問題は、様々なところで指摘されています。例えば、NHKでは「無月経、疲労骨折・・・10代女子選手の危機 - NHK クローズアップ現代」のような特集も組まれています。美姫さんは娘さんの出産になんと38時間もかかったそうです。*2いわく「筋肉がガッチガチで」だそう。女性アスリートに多い無月経は不妊の原因になることもあります。

 美姫さん自身の身体がどのような状態かは分かりませんが、子どもを授かりにくい可能性もあるトップアスリートとしては、条件が整わない中での出産であっても、それだけのリスクを抱える価値を持つものだったのかもしれません。 

 おわり。

 それにしても、妊娠したらしたで「妊娠するような行為をした結果だろう」と自己責任を突きつけられ、恋人がいなければいないで「恋人がいないと女としての表現力が身につかない」*3と言われる女子フィギュアスケーターたちって、なんて無理ゲーな世界なんだろう…。

*1:『ナンバー2月10日号』第26巻第3号、文芸春秋、平成17年2月10日発行、24頁

*2:1月1日放送「嵐にしやがれ元日SP」より

*3:ラサール石井氏の2011年の発言より。リンクを貼るのもおぞましい発言なので気になる人は検索してみてね