@AZUSACHKA 's note

わたしの感想をわたしが読みたい。

『源氏物語』をフェミニズム批評する - 『フェミニスト紫式部の生活と意見 ~現代用語で読み解く「源氏物語」』感想

 

源氏物語』をフェミニズム批評で読み解く本。

以前から気になってて、今年の大河ドラマ紫式部なので読んでみた。

源氏物語は『あさきゆめみし』と高校生時代に読んだ解説本くらいしか知らないんだけど、それでも(だからこそ?)すごく面白かった!

フェミニズムのことをよく知らない・原作を読んだわけではない状態でも面白いんだけど、フェミニズムの目を通してストーリーを追いかけたらさらに面白くなった。

 

例えば、紫の上について。

フェミニズムとかなんも知らなかった時代のわたしでも「小さな女の子を誘拐してきて、お兄ちゃんみたいな人と思わせておいて自分の妻にするなんてひどい(しかも晩年に他の女(自分より格上の)を妻の一人にするなんてドン引き)」とは思っていた。

でもフェミニズムを踏まえて紫の上のことを見たら、紫の上の悲しさがいっそう割り増しされた。

この本の中で挙げられているのは、例えば明石の君が上京してきたとき、光源氏が紫の上に「明石の君とあなたでは比べようもないほど差があるのに比べてしまうのは良くないよ」と「心得」を「教える」シーン。そもそも光源氏と紫の上は、光が「教える」人で、紫が「教わる」関係。(158-159頁)

あー!!なるほど「教えたがる」男!!!!こういうのあるあるだよねー!!!!マンスプとかさ!!!

 

一方、フェミニズムを通すと、ストーリーを追うだけでは(わたしには)魅力が分かりにくかった女性キャラの魅力が分かるようにもなった。

例えば夕顔。

隠れ住んでいながら、家の前を通りかかった光源氏をめざとく見つけ、思わせぶりな歌を送り付ける。それまで何の接点もない相手にです。これが、「内気な女」「無邪気な女」のすることでしょうか?(53頁)

左大臣家の若君との間に授かった娘を路頭に迷わせたくない、このまま埋もれさせたくない ――そう思い悩んだ時に、身分ありげな、しかも今世間で評判の光源氏かもしれない男性の車を見かけたら。その従者が我が家の庭先から花を手折ろうとしているのを見つけたら。

光源氏との関係の発端は、夕顔、あるいはその女房が必死に考えた挙げ句の企み、女たちが 「生きのびるための手段」だったのではないでしょうか。他家へ宮仕えに出る伝手さえもなかったとしたら、貴族女性の生きる選択肢は、本当に少なかったのですから。(54-55頁)

ここ、すごくなるほど~~!!!!!ってなった。

あさきゆめみし』でも夕顔は儚げなキャラだった(もちろん原作でもそう)けど、「守ってあげたい女」を装いながらリードしてるのは実は女のほう…というキャラ、嫌いじゃない。というか好き!笑

他にも、この本を読んで好きになった女性キャラがたくさんいました。

 

感想はちょっと短め(わたし基準)になっちゃったけど、すごく面白くて良い本だったのでおすすめです。

大河ドラマ紫式部界隈(?)が盛り上がってる間にぜひみんな読んでみてね!