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Unknown Lady's Diary

読書/映画/上原專祿/フィギュアスケート/セーラームーン/ロシア

【映画】「ブリッジ・オブ・スパイ」(スピルバーグ監督、2015年、米国)感想 - Стойкий Мужик!! 不安は何の役にも立たない。

映画感想

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いやもう本当におもしろかった。前半部分の「我々は何を以て自らを米国人と規定するのか?それは憲法だ」というテーマも、ドノヴァン(トム・ハンクス。弁護士役)とアベル(マーク・ライランス。スパイ役)がだんだん心を通わせていくところも、ドノヴァンが弁護士らしくキレッキレの脳みそを働かせて東独で奔走するところも、後半部分のドキドキハラハラするようなストーリーも、全部おもしろかった。「愛国」とは何なのか(星条旗への忠誠を指すのか?)などの社会的なテーマも含みつつ普通にドキドキハラハラさせられる、なんだか一粒で二度おいしいみたいな映画だった。大満足である。

スピルバーグ監督&トム・ハンクス主演なので、わたしが書かなくても色々な人が感想解説批評批判絶賛を書いているだろうから、特に自分の印象に残った部分だけを書き残しておく。

 

ドノヴァンもすごく良いんだけど、アベルがすごく印象的なセリフを言うんだよね。

一つは、ドノヴァンから「不安はないのか?」と聞かれ、「それが何かの役に立つのか?」と返す言葉。たしかに!!あんな極限的な状況でなくたって不安を感じる瞬間は人生の中にたくさんあるけれど、ほとんどの場合それは何の役にも立たないのだ。であれば、不安を意識することはなんと非建設的なのだろう。すごく良い言葉なので、折に触れてわたしも使いたい。

それともう一つが、英語でいうと"Standing Man"であるというロシア語の≪Стойкий Мужик≫という言葉。直訳だと「忠実な農民」??日本語字幕では「不屈の男」と表されていた。実は、この映画を観た次の日にロシア料理屋へ行く機会があり、そこのおかみさんであるロシア人女性に「これはどういう言葉?」と聞いてみた。説明するのが難しいんだけど、と前置きされて言われたのが、「何があっても諦めない男、強い男」のような意味だ、とのこと。この言葉だけがロシア語で表現されていたのですごく印象に残った。最後のシーン*1で効果的にこの言葉が登場したときは、ぶわぁぁぁって涙腺が崩壊するしかなかった。

 

一つだけ文句を言いたいのは、映画の内容じゃなくて、日本版のポスター。なんでドノヴァンが妻と抱き合う写真なの?一人の人間が国籍や政治など関係なしに人の命を救ったっていうのが映画のテーマなのに、なんで「家族愛」みたいなのがポスターになるんだ。というわけで、ささやかな抵抗として、本国版のポスターをブログには貼り付けた。

*1:ネタバレ回避で注に書いた→自分自身がСтойкий Мужикになるところね