あらすじ
彼は樺太で生活するうちに先住民族・ニヴフの父娘と親しくなるが、その娘が誘拐されてしまったことで、彼女のいるニコラエフスク(極東ロシアの街)に行くことになる。ニコラエフスクでは日本の島田商会が商売をしており、在露日本人も多かった。しかし当時ロシアは革命が起きたばかりで内戦が続いており、そして矢一郎はある事件に巻き込まれていく。
※「ある事件」は実際に起きた事件*1なんだけど、Wikipediaで調べると物語の結末まで予想できてしまうので、「ニコラエフスク…革命後の内戦…シベリア出兵…ピーン!!」となる人以外はぐぐらないほうがいいと思う。(ちなみに私は浅学につき全然知らなかった歴史なので結果が全く予想できずハラハラしながら読んだ)
感想メモ
この小説は熊谷達也が秋田・阿仁のマタギを中心人物に据えて描くシリーズ「マタギ三部作」の最後の一つで、『相克の森(現代)』『邂逅の森(大正時代)』と続き、本作『氷結の森(明治時代)』が三部作のラストの作品になる。
ただ、日露戦争に従軍していたこと、阿仁のマタギの出であること、体格が良いとの描写があること、あまり多くを語る方ではないこと、そしてなぜか女性によく好意を寄せられること(本人なんにもしてないのに!)*2…あたりから「『ゴールデンカムイ』の谷垣っぽいな」と思った。野田サトル先生がこの小説から谷垣像を着想したのか、それともマタギ出身の兵士というのが当時珍しくもなかったのかは分からないけれど、同じ時代・同じ地域の別作品にこういう共通点を見つけるとすごく楽しい。私の中にサハリンの世界観が形成されていく!
余談だけど、これで私の読んだサハリン(樺太)小説は『天北原野』『熱源』に続いて3つ目になった。他にもサハリン(樺太)を舞台にした小説ってどんなのがあるかな?もっと色々読んでみたいな〜。おすすめあったら教えてください。(ここのコメント欄かTwitterまでぜひお願いします!)